一般的に、会社の中でチームで働く場合、情報共有はとても重要です。仮に情報共有を一切しないのだとしたら、それは一人で働いていることとほとんど何も変わりません。チームで情報が共有されることではじめて、他人を手伝ったり意見を言ったりすることができるようになります。情報共有はチームワークの基本中の基本だと言ってもよいでしょう。
プロジェクトマネジメントで同様で、情報共有することは、プロジェクトの成功の必須事項となります。しかし、そんな基本中の基本であるはずの情報共有が、あまりうまくできていないケースをよく見かけます。プロジェクトに関与する人数が少ないうちはある程度うまくまわっていても、チームの人数が増えるにつれて情報共有ができていないために効率が著しく落ちてしまうことも少なくありません。
あなたの周辺では、過去の経験を活かせずに失敗を繰り返しているケースが多くはありませんか。例えばレポートがバラバラに保管されていてどこにあるのかわからない、一覧管理されてはいるが分析や体系化が行われておらず有効に活用できていないといったことがあれば、それは蓄積されたデータを有効に活用しきれていないのが一因なのでしょう。そこにはもっとさまざまな理由があります。
例えば、プロジェクト・マネジャーは常にさまざまな課題をかかえており、それを適時解決していかなければなりません。しかし、情報共有と伝達がない場合には、蓄積されたデータや情報を有効に活用することができなと、問題解決もできなくなってしまいます。
言うまでもなく、蓄積された過去の失敗情報は成功情報と同様に高い価値をもつ情報資産です。その情報の分析を行い事前にリスクの軽減や回避などを行うために知恵を絞ることが、プロジェクトの成功要因となります。
情報共有はコミュニケーションと双璧をなす、極めて重要な項目です。そして、ここでプロジェクトマネージャーの役割は、プロジェクトの計画を作る段階で、情報共有をするためのITシステムの選択、メンバー間の情報共有のやり方、ルールを作成し、チームメンバーに徹底させる必要があります。
往々にして、これはかなりしんどい作業です。というのは、理屈は簡単ですが、一般的にチームメンバーの中でこれをよく理解して前向きにやろうとする人が少ないからです。たいていは、自分の担当責任分野だけをやることが多く、その結果を他のメンバーに効率よく伝えようという気にならないためです。この点が、理屈ではわからないプロジェクトマネージャーの難しいところであります。
純日本流に言うと、「ほうれんそう」が情報共有で効率化する基本となります。
「報告」:通常の担当業務や特に指示された業務に対して、上司にその経過や結果
を告げること
「連絡」:業務上知り得た圭要な事実や決定事項などについて関係者に伝えること
「相談」:迷った際に、上司の判断を仰いだリアドバイスをもらうこと
報連相を適切に行うためには、相手に対して情報を的確に伝えることが不可欠
です。
その際に押さえておくべきポイントは
・ 要点を整理してから伝える
・ 結論から先に、経緯説明は後に伝える
・ 事実と意見・推測を区別する
・ あいまいな表現は避ける
・ 伝えるタイミングを考慮する
・ 状況が変わったときは、中間報告を行う
・ 指示を受けた本人に直接報告する
・ ミスやトラブルなど悪い情報ほどすぐに伝える
・ ケースや相手によって伝える方法を選ぶ
・ 一人で何とかしようとする前に報連相をする
プロジェクトマネージャーは、こういった基本的なことを、プロジェクトメンバーの各人が、理解し実行する文化を(雰囲気)を意図的に作り上げる努力が不可欠で、これは会社の社長のリーダーシップにも共通する大切な仕事となります。