コスト管理

ある程度、会社で管理職レベルの経験がある人にとってコスト管理というのは常識なのですが、経験のない新進気鋭の起業家を見ていると、この基本的な事柄が理解されていないことに驚きました。

それは、言葉の意味として「そんなことは言われなくてもわかっている」と信じているので、会社経営で必要なコスト管理がどんなものか真剣に勉強しようとしないという事になります。

そして、数カ月後にとんでもない結果に驚きますが、其の時はかなり手遅れで修正するのに相当な時間と労力がかかります。

私の経験ではNECのような100年企業では、長年の間に何度も倒産の危機を経験してサバイバルしてきているので、コスト管理手法も非常に詳細で徹底しており、社内にはそのツールもノウハウ集もたくさん蓄積されてきています。

売上が何兆円といった規模であっても、個人レベルでコピーをするのにも、毎回個人別にカードそ挿入して用紙を何枚使っているかまで管理されていたりします。素人的には、そんな一枚1円か2円のコピーを管理する手間はバカバカしいと感じるのですが、現実にマネジメントではそうは考えません。(この点は話が長くなるのでスキップ)

このブログでは、詳細は書けないので、参考図書を別途読んでもらうことにして、論点を初心者の勉強と注意点ということに絞って話します。

また、プロジェクトマネジメントでのコスト管理と会社経営でのコスト管理は、基本的なレベルでは、同じなので、ここでは両者共通のことを話します。

project-cost-management

 

問題点というか、落とし穴をまとめてみますと、

  1. 「売上を上げて経費(コスト)を下げて利益を出すんでしょ。そんな簡単なことわかりますよ」→ この思い込みが問題。コスト管理はそんな一言で片付けられるような簡単なものではない。
  2. 年間決算するときの経費の総額は、おびただしい数のコスト項目の積み上げ(足し算)になり、経営者がどんぶり勘定的(感情的)にやっていると、最後に恐ろしく自分の感覚と異なった結果になる。→ 大抵は大幅なコストアップ。
  3. コスト管理はまず予算の作成から始まり、長年やっている企業は過去数年の実績データを基に予算を作るので、大きなハズレがない。→ 起業家の場合は、起業したのだから 1)過去のデータはゼロ 2)やった経験もゼロ 3)勉強している時間もない → 危険でしょ!
  4. 数字で正確に毎月フォローしていかなければいけないが、初めての起業家にとって「めんどくさい」作業となる。特に、思いがけなく受注売上が大きくて、どんぶり勘定でも利益が十分に出る場合は、ほとんどやる人がいないでしょう。→ これが将来確実に大きな失敗となってやってきます。
  5. コスト管理は、使った費用をつけるという単純な作業もあるけれど、一番重要なのは、1)その費用の多少にかかわらず妥当性を厳密に検討しているか? 2)予想外の追加コストのリスクアセスメントをやっているか? 3)コスト項目のバランスを理解しているか? こういった経営レベルでの検討なのだが、正直言って初年度から、これが出来る人は僅少だろう。

overrun

では、起業家がどうすればいいか。

  1. まず、コスト管理が簡単でないこと、危険項目と認識すること
  2. 勉強すること
  3. 経験者の意見を聞く、相談すること

素直に行きましょう。

経営という目で見ると、コスト管理は、もう一つ上のレベルの予算、戦略から降りてくるサブ項目になります。

 

 

タイトルとURLをコピーしました