市場のトレンドを定量的に把握する

これから新規にビジネスを起こす場合でも、既に起業がある程度成功し、さらに売上の拡大をする場合にも、市場のトレンドを把握することは極めて重要な項目である。

その市場のトレンドを把握する場合に、ただ単に、「今後この市場は伸びる」とか、「縮小するだろう」とか、言葉による表現だけで理解したり、討議してはいないだろうか。大企業のマーケティングでは、今日では、必ず現実ので実データに基づいて分析的に検討することが常識になっている。

中小企業や個人事業レベルでやっているのだから、そんなアカデミックなことをやってる場合ではない、とかいった考え方もあるかもしれない。しかし、個人事業レベルであっても、マクロレベルの市場の動向を定量的に把握することは非常に重要なことだ。

 

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マーケットのデータを手に入れる

一昔前であれば、マーケットの詳細データを入手するには、マーケティングリサーチ会社から高額の費用を払って購入する必要があった為、大企業が圧倒的に有利な立場にあった。中小起業ではとてもその金額を支払うことができなかった。

ところが、今日では、インターネットのおかげで、またGoogleなどの検索システムの助けを借りると、ほぼ無料で大抵のデータはいながらにして入手することが可能になった。また、本屋に行けば、其のたぐいの資料をまとめたものがたくさん並んでいる。有料のデータであっても、金額がそれほど高くないので、中小起業でも十分に入手できる。

ここで必要なスキルは、自分がいったいどのようなマーケットデータが必要なのかを知っていなければいけないことだ。そして入手したデータをどう活用するかを判断する能力が必要である。

また、幾つかのデータを分析して、そこから自分の事業に役に立つ事柄を導き出すことが大切だ。

マーケット・トレンドといっても、その分野は非常に多いので、ここで具体例をたくさん取り上げることはできないので、最近話題になっているIn Bound businessというサンプルを利用してマーケット・トレンドについて紹介してみたい。

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インバウンドの市場に関するデータをサーチ

まず、

1.政府の報告書からのデータを入手

大抵の場合、政府筋(経済産業省など)では、専門家による市場の調査が毎年行われており、それらに関する資料は一般に公開されている。非常に広い分野にわたり詳細の検討された資料が無料で入手できるので、これらを是非調べてみよう。一つ難点は、発表されるまでに時間差が最大1年くらいあるので、リアルタイム性は少し低い。従って数年に渡る動向などを見るということに活用するのが得策。

それでは、サンプルとしてー日本政府観光局(JNTO)のサイトの統計情報のページをみてみよう。

http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/ (このURLは、今日のHPデータなので後日変わることもあります)

ここにエクセルデータで実数値がはいっている。これをダウンロードして、このままでは、理解しづらいので、それをグラフ化したものの一部をサンプルとして、下に示す。(来日外客数の実データから各国の比率を%でだしたもの)

 

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このような詳細データが、いろいろな分野で無料で入手することができる。特に、政府筋の統計データは信用度が高い。

さて、これらのデータを自分が必要とする内容に合わせて、分析、グラフ化して見やすくしてまとめたのが次のスライドにまとめてある。


[slideshare id=66830072&doc=random-161006234312]


この他にも、自分が目的とする事業に必要な情報は何であるかをまず考え、それに必要なリアルデータをネット検索で収集し、その中から有益な情報を引っ張り出すことが重要だ。

一つ、検索方法でおもしろい方法がある。それは、検索語をGoogleの検索窓に入れた後で、「グラフ」とか「傾向」とかを並列して検索語で追加し、画像検索を行う。すると、ビジュアルに既にうまくまとめた画像がでてくることが多い。そしてその画像から、画像の転載先のHPに飛ぶと、詳細の説明などが出てくる。いくつかサンプル画像を載せてみよう。検索語は「インバウンド 2016年」でやってみた。


 

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もう一つ、ターゲット市場の人気度を示す指標としてウェブ上での検索数だ。
Google Trend (https://www.google.co.jp/trends/)で、キーワードを入れて検索してみよう。

「インバウンド」でやってみた結果は次のようになり2015年から急に上昇をして人気化していることがわかる。


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2.ネット上で検索を行い、関連するデータを列挙する

ネット上には、一つの検索語(テーマ)でも、非常に沢山のデータが存在していて、クズデータも当然多くあるので、それらのなかから良いもの、役に立つものを拾い上げる作業が必要だ。ちょっと時間はかかるが、自分が市場調査をすることなどと比較すれば、遥かに効率的な作業だ。

集めた有益なデータを、列挙して、全体を眺めてみると、自然とそのマーケットの全容が見えてくるようになる。
ここでは、ある程度の分析能力も必要だが、それらは時間をかけて自分で訓練する必要がある。


3.分析を行う

市場のリアルデータが入手でき、それらをまとめた上で、自分の目的にあわせた分析が最終プロセスとなる。このチャプターでは、分析は主題でないのでここでは述べないけれど、大切なことは、人間の感覚的な判断も重要ではあるけれど、その前にリアルデータをはっきりと把握して、その上で最終的な意思決定などの重要な作業を行うのがポイントだ。

新規の起業家や、個人事業主は、若い人が多いので、このような訓練がされていないことが多い。大企業では、必ずこれらの基礎作業をする部署があり、そればかりの年中やっている専門家がいる。まず、その事実をよく考えてみることだ。別のチャプターでも述べているけれど、起業して5年存続できる確立は15%だという現実を見てもわかることだが、「市場のトレンドをリアルデータに基づいて正確に把握する」ことをしないで、感覚だけで、いきなり元気よく船出すると、非常に高い確率で失敗してしまうことを肝に銘じておきたい。

 

(注)ここで、採用しているデータは2016年春のもので、教育資料として採用しているので、このサイトを見る人にとっては、既に古いデータとなっていることをご了解ください。

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