問題予知能力と解決能力

自分が、会社の社員として働いている場合でも、また経営者側/部長などのより広範囲な責任をおっている場合であっても、問題の予知能力と解決能力と言うのは、非常に重要なこと。

問題点の早期発見

予知能力というと、ナマズが地震を予知して騒ぐといったちょっと神秘的な言葉に聞こえるかもしれないけれど、長年ビジネスをやっている人は、多かれ少なかれこういったことを体験的に知っている。

ただ、これは日頃から様々な問題に遭遇し、数多くの実体験がないとなかなかこの能力は培われない。毎日毎日の訓練が知らず知らずのうちに、人間の能力を開発、高めていき、危険な事態を事前に察知して問題解決に効率よくあたることができるようになる。

長年の経験者は、何か新しい案件の概要の話を少し聞くだけでも、過去の体験や知識から可能性のある問題点、影にかくれているリスクなどをある程度早い段階で予測することができる。

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予測と予知

ここには、実は2つの微妙な違いが存在している。

まず、予測と言うのは、どちらかと言うと、経験や学習によって理論的に推測できることをいう。

もう一つは、理論的には予測不可能なことだけれど、何か心に「ひっかかる」といった動物的な予知に近いものだ。多くの経営者で長年成功している人達は、この動物的な予知能力を持っている人が多い。

この予測と予知はかなり相関性があり、予知だけ出来るということはあまりない。つまり、常日頃からの継続した努力精進が予測能力を高め、それが長期間累積した時に並行して予知能力が伴ってくる。

私も過去において、部下の報告を聞いているだけで、表面的には「問題はない」のだけれど、「何か変だな」という感じがして、其のときには、より深く状況を聞いてみたりする。そうしているうちに思いがけない問題点を発見するということは、非常に多くあった。

このことは、今ここで言葉で説明しても、体験がないものにとっては、何をいっているのかわからないことかも知れない。恐らく私も、若い頃にはそんな話を聞いても「聞き流す」だけだったと思う。ただ、このことは早く気がつくほど、失敗が少なくなるし、進歩が早くなる。意識的に、目に見える問題と目に見えない問題の2つが存在することを理解して、日々の業務にあたっていると、年月が経つと、人間の進歩の度合いは大きく変わってくると思う。

具体的な事例については、記述すると長くなるので、講義の時に口頭にて説明することにしよう。

Fortune teller

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問題解決能力

次に、問題点が明確になった後で、その問題を解決することが必要になる。

会社の場合に、上級管理者のレベル(社長、役員、事業部長)に問題が上がってくるときには、大抵の場合、時間的には手遅れで、問題解決が常識的には不可能な状態の場合が多い。この状態の問題には、必ず大きな損失を伴い、何かを諦め、何かを生かすギリギリの選択に迫られることになる。

問題解決能力も極めて重要な個人の能力となる。これは、様々な角度から、問題点を見つめ直し、幾つかの解決策のオプションを作成し、バランスもって最終決断をしなければならない。

これは、やはり多くの経験を積んでいないと、よい解決策をだすことはできない。つまり、これも常日頃から、考える力、本質を見抜く力を養っておく必要がある。たとえば、テレビニュースを見ていると、政治家や、事業家のスキャンダル的な問題がよく取り上げられる。こういった報道なども、ただ聞いているだけでなく、「何故そうなったのだろう?」「自分だったらどういう解決策をとるだろう?」と、思考の訓練をすることも自分の問題解決の思考訓練になる。

man full seeing at drawing global concept

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自分が気が付かない問題があると認識する

どんな会社でも、大雑把な言い方だけど(私の経験から)業務の時間の半分は、問題が発生して、その問題解決の為に時間をとられている。いわゆる前向きの仕事でなく後ろ向きの仕事になっている。これは、かなり現実的な事実で、昔も今も、将来もほぼ同じだと思う。会社の中には、新入社員から派遣社員、経験がある人もない人も、いろいろな人がいっしょに活動しているが、どんなに一生懸命プロセスを作り上げても、常に不完全なところが存在している。

そこで、問題の発生確率を小さくして、損失を小さくする為に、一番大切なことは、まず「自分が気が付かない問題があると認識する」ことだ。完璧な人間はいない、完璧な業務プロセスもない。その大前提を受け入れると、自ずと「問題点」に目を向けやすくなる。早期発見ができる。早期発見のために、他の人に相談するようになる。

「ほうれんそう」は、この問題点の早期発見にも重要な役割を果たす。

思い込みの恐ろしさ

人間には誰でも「自分独自の常識」が存在する。「そんなこと常識でしょ」なんて発言する人を多く見かける。しかし、常識と言うのは、立場が変われば常識ではなくなる。特にグローバルな時代では日本では99%の人が正しいと思っていても、他の国に行けば「非常識」扱いされるものはたくさんある。

思い込みと言うのは、本人が100%正しいと信じているので、万が一間違っていると致命的な問題となる。これは、私自身が昔100%正しいと信じていたことが、後で、「違っていた」と気付いたことがいくつもある経験から言っている。

思い込みは、誰でもあるのだけれど、その恐ろしさについての認識は早い時期に持っていた方がいい。

先人の知恵を盗む

過去の歴史上の偉大な実績を残した人物が、多くの書物を残しているけれど、そのなかには自分の今までの常識を「考え直させる」内容のものがたくさんある。例を言えば、松下幸之助の書物には私も多くを学ばせてもらった。探せば、現代ではその類の本はいくらでもある。是非、日頃から先人の知恵を盗むことをするといい。本を読んだだけで、「わかった」、ということにはならない。体験と知識が合体した時に、初めて自分の「腑に落ちる」現象が起き、実践で、この知恵が利用できるようになる。

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最後に、もう一度まとめると、

問題点の予測、予知とその解決能力は、自分の人生、事業運営など全てのことに共通した重要なポイントだ。そう認識して欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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