Win-Winはスティーブン・R・コヴィーの著作『7つの習慣』で広く世界に知られるようになった。
平たく言うと、人間関係であれ、ビジネスの交渉事であれ、普通は誰でもが、自分が得をするように考える。その時、あまり相手側の事を考えない。
これに対して、「Win-Win」とは、自分も相手もHappyになるように物事を考えること。
Win & Loose 4つのパターンを理解する
もう少し、分類すると、人間関係における自分と相手との関係は、以下の4つになる。
- Win-Win:自分も勝ち、相手も勝つ。それぞれの当事者が欲しい結果を得ること
- Win-Lose:自分が勝ち、相手は負ける。相手を蹴落として自分だけが勝つという世界
- Lose-Win:自分が負けて相手が勝つ。相手が幸せになるならば、自分は犠牲になってもいいという態度
- Lose-Lose:相手が負けて自分も負ける。相手に勝たせるくらいなら足を引っ張ってでも、道連れにして共倒れする
Win-Loose
多くの人が考えるのは「Win-Lose」です。これは私が勝ってあなたは負けるという考え方です。
リーダーシップのスタイルでいうならば、「あなたは満足しないかもしれないが、私は満足だ。私のいう通りにせよ」という独裁的なアプローチ。
ほとんどの人は、生まれたときからWin-Loseの考え方を植えつけられて育ってきたといえるかもしれません。ライバルを蹴落とさなければ生き残れないような厳しい環境で仕事をしている人は、今まさに、その状態で不安な日々を送っていることでしょう。特に、スポーツの世界では、「勝つか負けるか」ということなので、Win-Win という状態は存在しない。しかし、これって本当に正しい生き方なのだろうか?
この考え方の危険なところは、価値の判断基準が常に相対的なものであり。他人との比較や、周囲からの期待に対する達成度でしか自分の存在意義を認められないことです。自分が成長しなくても相手のレベルや要求水準さえ下がれば勝てますし、また「それでよし」とする考え方です。
子ども時代からこのような好戦的な価値観を持ってしまうと、常に他人の顔色を窺い、相手を出し抜くことで、望む結果を手に入れようとするようになります。
Win-Win
「Win-Winなど、綺麗事に過ぎない」と思う人もいるかもしれませんが、人生は競争ではありません。私たちは、恋人または配偶者、同僚や上司、友達と、毎日、勝ち負けを争いながら生活しているわけではありません。むしろ、協力し合うことによって、お互いが満足する結果を得ることのほうがずっと多いということに、気づく必要があります。
「Win-Win」とは、すべての関係の中で、お互いの利益を求める精神のことで、お互いに満足できる合意や解決策を打ち出す考え方です。人生を競争の舞台ではなく、皆で協力して完成させる舞台と見るパラダイムです。
二大悪習「比較と競争」で話したように、現代人は人生を、強いか弱いか、勝つか負けるか、食うか食われるか、といった概念で捉えがちです。しかし、人生の質や価値は力関係や地位によって決まるものではありません。
Win-Winの考え方のスタートは、お互いに満足する答えが必ず存在するはずだと考えることであり、ある人の成功は必ずしも他の誰かを犠牲にしなくても実現できると信じることです。
特に、気づく必要があるのは、双方がWin状態にならないと、人間社会では長期的に繁栄しないのです。どちらかがLoose(犠牲)になると、本当に公平な人類の発展と幸福には反することなのです。
Loose-Winは危険
「どうか私を犠牲にしてください」
「好きなように利用していただいてけっこうです」
相手を自分より優先して、「思いやり」「親切」という名のもとに、自分をLooserとすること。
「自分は生まれつき負け犬だ。今さら変わりようがない」
「衝突や面倒さえ避けられるなら、自分は何でもいいです」
こうした卑屈な姿勢に終始するLose-Winは、もしかすると他人を踏みつけにしようとするWin-Loseよりもタチが悪いといえるかもしれません。
Lose-Winの考え方には、基準、ビジョン、希望、期待などが全くないからです。
相手の要求にすぐに従ってしまうのは、自分なりの基準がないからです。
また、相手に好かれたいという欲求が強いあまり、自分の信念や気持ちを表現する勇気がなく、他の人の我の強さに怯え、すぐ白旗を揚げてしまう人でもあります。
相手のWinを尊重したつもりで、この態度を選ぶケースも少なくありません。
本人はWin-Winだと思ってそうしたにもかかわらず、結果的にLose-Winになってしまうこともあり得るのです。
自分のWinを貫くのはとても厳しいことです。優しい人ほど、「相手をイヤな気持ちにさせたらどうしよう」「人間関係にヒビが入ったらどうしよう」という不安ばかりが先行し、「自分が我慢すればいいのだから」となってしまいがちです。
Lose-Winのパラダイムを持つ人は一見、罪のない「お人よし」のようにも見えますが、上の例でもわかるように、必ずしも善良なわけではありません。他人に嫌われまいと、自分の正直な気持ちを押し隠し、その場限りの無責任で安易な選択を行っている場合が多く、そうした人が他者から信頼されたり、特に好かれたりすることは少ないでしょう。